悲しみのタイムトラベラー

悲しみの タイムトラベラー

2218年4月、タイムマシンが開発された。

【相対性理論によると】
・光の速度を超えると時間をさかのぼる事ができる
・重量が重いと時間がゆっくり流れる

→重い高密度な鉱石物の発見と高速なエンジンの開発により、時空をねじ曲げ、過去に遡る(さかのぼる)事に成功した。それがタイムマシンである。

【タイムマシンによる影響】
・古銭や骨董品が重宝される
・タイムマシンは一部を除き結局、使われなくなる

【人類史上、待望のタイムマシンが完成した】
過去に遡り(さかのぼり)未来を変える事が出来る。

過去の失敗を修正し、明るい未来を作ろうと多くの人がタイムマシンに乗り込んでいった。

実は、まさに今、私たちが住んでるこの中にも未来から来たタイムトラベラーが潜んでいるかもしれない。

未来を知る彼らはロト6、株で大儲けを企む者もいた。
また災害から人助けしようとする者もいた。

過去を変え、明るい未来に変えようと誰もが思っていた。

しかし、彼らに明るい未来はなかった。

ロト6を買おうにも金がない事に気づく。なぜなら未来のお金(お札)は使えないからだ。未来のお金は現在ではただのニセ札にすぎない。
スマホも未来と今では通信方式が違うため使いモノにならない。

移動する電車賃さえ持ってない未来人はホームレスとなる。
彼らの言うことは誰も信用してくれなかった。
謎の予言者として興味を持たれる事はあるにはあった。

悲しい結末はそれだけではない。

一旦過去に戻ると、二度と未来に帰る事は出来ない。
なぜなら、過去にタイムマシンはないから。
未来から過去に戻ることはできても、過去から未来に行くには、ゆっくりと時が過ぎるのを待つしかない。

そして未来からの訪問者は絶望のままひっそりと世の中から消えていく。

それでも、未来から、戻れない事を知りながら古銭(現在のお金)をたくさん持って過去を楽しむ人も出てきた。

もしかしたら今、未来を語るタイムトラベラーがすぐ近くにいるかもしれない。

彼らは言うだろう
「未来は必ず来るから、希望を持ってくれ」と

「もし未来がなければ、人類が滅亡しているなら、私らは来る事はないのだから・・・・」

そしてこうも言った。
「決して居心地はよくないかもしれないが今が最高な時だよ。」
「なぜなら、こうして未来を捨て、今の時代に戻ってきた私らが居るのだから・・・」